「RSP-01、”断髪式”しますよ」
そんなLINEが届いたのは、まだ暑さの残る10月のある日のことでした。

RSP-01は、リーマンサット2機目の人工衛星のこと。
人工衛星に、髪は、ない。
たぶん。
人工衛星の断髪式とは、なんだ?
その謎を解くため、取材班は江戸川区の某所へ飛んだ……

断髪式とは?

こんにちは、広報部技術広報課モエです。
今回は、JAXAへの引き渡しを目前に控えたRSP-01の、「断髪式」の様子をお伝えします!

モエ「断髪って、なにするんですか?」
三井プロジェクトマネージャー(以下PM)「このケーブルを、はずします」

このケーブルとは、RSP-01フライトモデル(実際に宇宙へ放出されるモデル。Flight Model:FM)にずっとついていた、この線たち。

充電用ケーブルと、ソースコード書き替え用のケーブルです。
フライトモデルが完成した後も、RSP-01は試験を繰り返しました。
このケーブルを残しておくことで、試験してプログラムを書き替える必要が出た時、筐体を開けることなくソースコードの書き換えができます。
ちなみに、全ての衛星がこの方式というわけではなく、衛星にアダプタを付けて外部と接続する方法を取るところもあるようです。
RSP-01はアダプタをつけるスペースがなかったため、このようにケーブルを残す方式になったとのことです。

JAXAへの引き渡しが目前に迫り、とうとうこのケーブルを外す日が来ました。それが「断髪式」。

慎重に、ケーブルを切断します。

チェックする三井PM。

「緊張しました…ここで万が一失敗したら大変なことになる。隣でガン見する三井PMの目が怖かったです(笑)」とは、ケーブルの”断髪”を担当した一人の細野さんの弁。

断髪後のRSP-01。
すっきりした姿になりました。
これでいつでも、打上げ準備のためにJAXAへ引き渡しができます。

この日を迎えて、メンバーから一言

開発メンバーに、断髪式を終えてどう感じたかを聞いてみました。

「かっこいい。これがリーマンサットデザインディレクターの山下さんが思い描いた”完全体のRSP-01”なんですね」(C&DH系 あだちさん)
「待ちきれない。早く宇宙へ行って信号を送ってほしい。何か月も待つのは気が遠くなります」(C&DH系 古川さん)

「わたしは普段大阪から遠隔で開発をしているので、RSP-01の実物を見たのは今日が初めてなんです。見ることができてよかった」(電源系 今井さん)
「感無量、ようやく見られました。けど今日でさよなら。宇宙へ行ったら姿が見えない……わが子を送り出すような気持ちです。次の手ごたえは宇宙からですね」(通信系 瀧本さん)
「打ち上がってからが本番。安全に打ち上がってくれることを祈ります」(ミッション系 宇山さん)
「2019年の夏にリーマンサットに入って、人工衛星を作るのにちょっとでも関わることができると思っていなかったので嬉しいです。アマチュア無線の3級を取ったので、運用を頑張ります」(地上局系 三好さん)
「一時期はどうなることかと思ったがここまで完成できてよかった。はんだ付けに関しては保証します、5年は持ちます。部品についてはわかりません(笑)」(構造系 武井さん)
「紆余曲折ありつつ完成してよかった。このRSP-01に負けないよう、開発中のRSP-02も頑張りたい」(構造系 田中さん)

「これは打上げが成功したときに言おうと思っていたんだけど……。RSP-01は色んな人が色んなかかわり方をしてくれた。土日どっぷり開発に来てくれた人、自分の時間を割いてくれた人もいれば、クラウドファンディングでお金を出してくれた人もいた。一つだけ言えるのは、誰一人欠けてもRSP-01は完成しなかった。ありがとうございました」(伊藤PM)

「みんなの魂がこもったRSP-01衛星の成功を信じて、JAXAに引き渡してきたいと思う。今日のこの日を迎えて、衛星ができる、宇宙へ打ち上げる、ミッションが成功する……私の中では絶対やり遂げることだと思ってすすめてきたので、無事この日を迎えられたことも一つの誇りです。引き渡してきます。みんなで宇宙からの信号を待ちたい。」(三井PM)

最後に、学生時代に衛星の運用経験があるメンバーの、頼もしいコメントをどうぞ!
「2019年、ちょうど今ぐらいの時期に、フライトモデルを徹夜で組立していました。ようやくこの日が来たかなという感じ。衛星的にはようやくこれでスタートラインです。これから宇宙に行って頑張ってもらいたい。もうこここまで動作確認しているんで、通信出来て当たり前。信号が来たら『とりあえず動いているな』と安心しますね」(C&DH系他 おすぎさん)


(「1」のポーズをとる開発の皆さん。記念撮影用に一時的に集合し、マスクを外して撮影しました)

約3年の月日を経て、RSP-01が完全体になりました。
100人以上の開発メンバーの、汗と涙と寝不足の結晶の超小型人工衛星です。
リーマンサット一同、打上げとその次の宇宙空間でのミッション開始が、楽しみで仕方ありません。
運用が始まった時のための、「RSP-01」専用ページも鋭意作成中です。
いい感じの”宇宙で自撮り”が撮れたら、ご報告しますね!

打ち上げ情報

打ち上げ時間(JST):2月21日(日)午前2時36分
打ち上げロケット:アンタレス
RSP-01が搭載される宇宙船:ノースロップグラマン社商用補給機15号機(NG-15/Cygnus)(NASA)
打ち上げ場所:ワロップス飛行施設
打ち上げライブビデオ(NASA:午前2時~)

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あなたも一緒に、宇宙開発してみませんか?
リーマンサットメンバーの活動を下記にまとめました。ぜひご覧ください!

https://www.rymansat.com/join


【この記事を書いたメンバー】

広報部 オウンドメディア課 トモエ モエ
趣味は宇宙開発と阿波踊り
好物はビールと焼肉


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