少しずつ涼しさも感じるこの頃ですが、今年はどんな夏だったでしょうか。

一年遅れの東京2020オリンピック・パラリンピンクで盛り上がった夏。
続くコロナ禍で、帰省や旅行を諦めた人も多かっただろう夏。

そして静かに熱く、「RSP-02」の開発が進んでいた夏です!

大人数で集まって議論したり、一緒に作業したりしたかったところですが、そうもいかず。
だからといって、開発を止めることもなく。
一歩ずつ、できることを進めています。

お盆休みの某日は、長時間真空にさらされたモーターが動作するか、ということを確認する試験を実施しました。

モーターの真空試験

宇宙空間を旅する超小型人工衛星は、真空の中で稼働します。

金属の表面は、通常、空気中の酸素に触れて自然にできる酸化被膜という保護膜で覆われています。
ところが真空中で金属同士を接触させると、酸化被膜が剥がれて金属同士が固着してしまう事象“コールドウェルディング”が起きる可能性があります。
それはつまり、モーターの接合部(ギアなど)が動かなくなってしまう可能性がある、ということ!

「RSP-02」は親衛星の中心部に3つの子衛星を抱えていますが、勝手に飛び出してしまわないよう、放出口を蓋で押さえる設計になっています。モーターはこの蓋を開ける役割を担っており、地球を旅立ちISSから宇宙空間に飛び出した後も、いざ子衛星放出というタイミングが来るまではじっと動きません。
そして来るべき日、世界初の人工星座の放出を実現するためには、モーターが期待通りに動いて子衛星のための出口を開くことが必要不可欠なのです。


<写真:モーター>

※回転しているのがわかるよう先端に色を塗りました。フランス国旗風なのは、そこに赤と青のペンがあったから!(開発メンバー談)

試験には、内部を真空にすることができる真空チャンバーという装置を使用します。
リーマンサット・プロジェクトが作業をしている工場の一角に、存在感たっぷりに座しています。

<写真:真空チャンバー>

試験方法は、以下の通りです。

1.モーターを真空チャンバーに入れ、所定の気圧(※)に達してから3時間放置。
※金属の固着が発生する気圧 10^-2Pa(パスカル)

2.モーターを3分間動作(1回目)させた後、再び3時間放置。
3分あれば親衛星の蓋は開くと想定。また、1回目の動作試験で酸化被膜が剥がれると仮定しています。

3.モーターを3分間動作(2回目)させる。

試験ではモーターが途中で停止することなく、1回目2回目ともに3分間動き続けました。

<写真:試験の様子>

真空の次は低温、頑張れモーター

長時間真空にさらされてもモーターは動作すると判断できましたが、宇宙空間では温度も地上とは異なります。
今後は低温下でも動作するかどうかという観点で、モーター試験を行う予定です。

今は集まりにくい時期ですが、コロナ禍が落ち着いたら、興味のある人は試験にも積極的に参加してほしいというのが、開発メンバーの願いでもあります。
とくに今回の試験のような特殊な装置を使った試験はいつでも実施しているわけではないので、きっと近くで見たら純粋に楽しいし、これまで開発に興味がなかった人も、何かできることをやってみたくなるかもしれません。
既存メンバーの参加ももちろん、新規メンバーの参加も募集しています。

新規参加はこちら
https://www.rymansat.com/join

広報メンバーも、以前のように、開発作業に立ち会える日が早く来ることを祈っています!

それでは、次回の進捗もお楽しみに。


【この記事を書いたメンバー】

広報部 技術広報課 Akko.M
海外の宇宙科学番組が好きすぎて、偏った英語を習得中。スイーツと珈琲と星空図鑑があれば幸せな妄想家です。


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