こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!
前回の進捗報告はこちら→ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2024年9月
2024年10月のハモるんと03メンバー
超小型人工衛星RSP-03は、いよいよJAXAへの引き渡しを目前に控え、各チームが最後の追い込みをかけています。
それでは、2024年10月の各系進捗です。
PM系(プロジェクトマネジメント)
・打ち上げ便都合により衛星引き渡し日を11月→12月へ変更。
・結合評価に向けて、TB1・TB2(*1)・EM(*2)に分けて試験を実施中。
・関係する担当者間でレビューしたシステムテスト項目に基づき、長期運用試験やFM(*3)環境での確認項目も追加し引き渡し前の評価内容を強化。
*1:TestBench(テストベンチ) 衛星の電気系統(基板など)を抜き出した試験用のセット。
FlatSat(フラットサット)やTableSat(テーブルサット)と呼ばれることもある。
*2:開発に使用する試作機のことをEMと呼ぶ。エンジニアリングモデルの略。
*3:実際に宇宙へ放出されるモデルのことをFMと呼ぶ、フライトモデルの略。
M系(ミッション)
・技術講演会やイベント向けのデモアプリの開発を進めた。2024/11/9に行われたジャズフェスティバルでの、PC上で動作する音楽体験アプリの初披露を目指した。
・FMに最新ソフトを書き込み、ECHOコマンドが通ることも確認。SSTVや星座撮影(姿勢安定化あり)など、重要な動作確認も順調。
・Full HD画像のダウンリンク成功という明るいニュースも。
2024年時点、開発途中のデモアプリのサンプル画面。
C&DH系(コマンド&データハンドリング)
・ビーコン24h停止機能の追加修正 & 7日後自動リセット無発生問題修正を実施。これでCOBC(コマンド系OBC)ソフトウェアの機能修正は完了見込み
・AOBC(姿勢制御系OBC) – COBC(コマンド系OBC)設定read/write:実装完了
・TOBC(通信系OBC)のフェイルセーフ実装(衛星が長時間コマンドを受信しないときに自動でTOBCをスイッチする)
・CONFIGコマンドでメインTOBCを更新した際に現在のTOBCの電源・設定も再起動なしで変更できるように改良。
・「システムアーキテクチャ仕様書」の動作仕様も最新版にアップデートした。
T系(通信)
・GMSK CCSDSのデコードに一時課題があったが、地上局側(GNU Radio)の修正により、正しくデコードできるようになった。衛星側の実装には問題がないと判断。
・結合テストを消化中。T系(通信)-G系(地上局)間でNGになっている通信パスがある(主にSDRで受信した場合)が、地上局側の問題であり他の方法で通信が成立することは確認できているのでFMとしては問題ない見込み。
P系(電源)
・長期運用試験の中で、太陽電池2面模擬(400mA x 2)構成で微妙に電力収支がマイナスとなることが判明。
バッテリの充電電流を200mAに制限しており、日陰時の消費電流が充電電流を上回っているものと思われる。今後は運用方法の工夫でカバーする。
画像は長期運用試験しながらバッテリの電力収支を確認しているところ。
A系(姿勢制御)
IMU(慣性計測装置)125°/sファームの確認を継続してきた結果、テストベンチ上の試験はすべて合格。衛星内の動作として問題ないことを確認。
治具による単体試験で他系に影響が出ないことも確認され次第、ソフトウェアをFix予定。
H系(熱・構造)
・技術講演会に向けた資料作成に注力。
G系(地上局
Uplink/Downlinkの動作確認をすすめ、運用方法の検討も本格化。
また、Grafanaを使った電流・電圧データの可視化に挑戦。運用フェーズでの監視体制構築が着々と進む。
D系(デザイン)
10月は主に技術講演会関連の資料準備や、クラファン用フライヤーの入稿作業をすすめた。
X系(外部公開)
・RSP-03進捗記事「2024年2月」「2024年3月」を公開。
・Instagramにてスライド形式での技術講演会の告知開始。
・すみだストリートジャズフェスティバルin曳舟、技術講演会、宇科連、星マルシェなど怒涛の11月イベントラッシュに向けて準備加速中。
・技術講演会リハーサルでは、会場での接続トラブルを事前に解決!現地対応の重要性を再認識。
F系(ファンディング)
・10月は「RSP-03 メインテーマ」「ハモるん音頭」の作詞募集が行われ、リーマンサット定例ミーティングで採用結果を発表。
・さらに、リーマンサット10周年記念イベントのグッズ「RSP社員証*」作成。
・クラウドファンディングは11月23日開始予定で、目標額は300万円!メンバーの募集とアイデア提案が活発に行われる。
※会社ではありません。趣味の宇宙開発集団です
RSP-03特設サイトチーム(03サイト)
・Symphonyページのコンテンツ再整理や、仕様ページのテーブル化が進行中。
・テストでの星座写真のフル画像のダウンリンク成功を受け、サイト掲載の検討を始めた。ただしテストで40分くらいかかっているため、現実的にはどうか?
エレキ系
・長期運用試験が継続実施され、C&DH系の一週間リセット、24hアップリンクが無かった場合の停波機能など、時間を要する動作検証を実施。
総括
いよいよ衛星引き渡しに向けて秒読み段階となったRSP-03。2024年11月のイベントでは、直接チームメンバーと話せる機会も用意。
これまで以上に頑張ります!!
ハモるんとは
ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。
ハモるんについてもっともっと詳しく知りたい方は、RSP-03専用サイト「HAMORUN!」をご覧ください。
”系”とは
リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10+α のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。
以上、2024年10月の開発進捗でした。
次回のハモるん開発記もお楽しみに!
エレキ万博2025 参加のお知らせ
※当レポは2024年の話ですが、エレキ万博は2025年の話です!
2025年8月9日(土)、秋葉原にて『エレキ万博2025』が開催されます。
詳細はコチラ!
リーマンサットも出展、講演にて参加します!
15:00~15:30 趣味の宇宙開発! 宇宙から音楽を届ける超小型人工衛星の製作
15:30~16:00 趣味の宇宙開発! めざせ月面探査!自律走行ローバの製作
無料ですが、要事前登録です★
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宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。
【この記事を書いたメンバー】
広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉