こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!
前回の進捗報告はこちら→ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2024年3月
2024年4月のハモるんと03メンバー
2024年4月、RSP-03の開発は各系で重要な進展と調整が見られました。
まず、FM(Flight Model、実際に宇宙へ放出されるモデル。フライトモデル。以下FM)の組み立てが完了しました!
また安全審査やソフトウェア実装、取材対応など、打ち上げ・運用に向けた実務が進行中です。
それでは、4月の各系進捗です。
PM系(プロジェクトマネジメント)
・Phase0/1/2(安全審査ステージ)の議長審査が完了。文書署名と提出で正式に完了予定。
・ISS放出後30分間アンテナ展開&電波放射が行われないことを確認する試験の報告資料について確認依頼が来たので対応。
・作業中太陽電池セルに発生した割れの対応に関して、関係各所と協議中。振動試験は対策がFixするまで保留。
・その他、アンテナ展開機構・アンテナ固縛用のダイニーマに関する指摘にも順次対応。
M系(ミッション)
・地上局システムのM系コマンド開発中。
・曲生成パラメータの検討と曲生成ロジックを実装。
・アマチュア無線家向けサービスの一形態として、作曲パラメータ(ノート番号とコード進行)をリーマンサット地上局から衛星にアップリンクできる機能を実装中。
C&DH系(コマンド&データハンドリング)
・テレメトリ(OBCの情報集約機能)実装進行中。
・テレメトリ実装: 衛星のHK_FULL(衛星の健康状態の詳細)が自動送信できるようになった。
・バッテリーコントローラ設計開始: バッテリーの充放電を電源基板経由で適切に制御するために必要。
・AOBC(姿勢制御系OBC)とMOBC(ミッション系OBC)間のSPI通信の安定化作業進行中。
4月下旬はメンバー多忙のため進捗なし、GW明けに再開予定。
T系(通信)
・ハードウェアは組み立てが終わったので、ソフトウェアの実装を継続中。
・スケジュールの大きな遅延はなし。
P系(電源)
・4月上旬に-X面の太陽電池表面に微小な割れを確認。発電性能には影響ないと判断。
・振動試験中の安全確保のため、カプトンテープを貼付。試験後も同状態を維持予定。
A系(姿勢制御)
・RW(リアクションホイール)とIMU(慣性センサ)の両方を使用して姿勢制御を行えるように改変(IMUの測定誤差を加味したソフトに修正)。
・磁気トルカを搭載していない状況ではあるが、IMUの値から磁気トルカを動かす方向が正しいことを確認。
・試験環境では動作するが、単体試験の環境だとログが取れないという問題について、IMUの連続データが出力されない要因が判明。ハードリセットだとNGだが、ソフトリセットだと動作する制御の動作が行われていた。今後はゲインなどのパラメータ調整へ。
H系(構造・熱)
・メカ構造の組立完了。
・4月上旬の振動試験は保留。関係各所と調整中。
・残作業は振動試験と幾何公差確認のための形状検査。
G系(地上局)
・運用システムの開発を継続中。
・M系との結合試験を行うためのコマンドを開発中。
・M系から作曲データをダウンロードする機能を実装。
D系(デザイン)
・クラウドファンディングに向けたビジュアル制作を進行中。トップ画像およびリターンのTシャツ(衛星分解図バックプリント)、トートバッグ(ハモるんVer. )
・フライヤー案も構想段階へ。
X系(外部公開)
・日テレ公式宇宙チャンネル『ソラテレ夢宙人放送局』のYouTube取材に対応。参加メンバーの対応が素晴らしくいい番組になりそう。インタビュアーの辻岡義堂アナがとても感じがよかった。
・収録の様子
・放送はこちら(2024/5/11公開)【趣味で人工衛星を打ち上げます】すでに2基の人工衛星を打ち上げた謎の集団に潜入 【もうけを度外視すれば宇宙開発はこんなに楽しい!】
・「RSP-03技術講演会」企画が本格始動。期間は2024年11月〜2025年1月、最大10回行うことを決定した。※開催済
・FMのリーマンサット内お披露目会企画が浮上。開発メンバー以外にテストベンチを触ってもらうなど多くの案が出た。
F系(ファンディング)
・RSP-03クラウドファンディング時期を2024/11/23~2025/1/31に設定。時期が早いがREADYFOR(クラウドファンディングのプラットフォーム)にいったん申請してみた。
RSP-03特設サイト
https://rsp03.rymansat.com/
・デザイン・コンセプト・実装それぞれ進行中。
・追跡機能を追加!”追跡”のページで/track/(衛星のIDナンバー)を入れるとIDの衛星の軌道が表示されるようにした(隠しコマンド的に遊べる)。
・News更新を管理画面から可能に変更。
・ちなみに2025/5月現在も人材募集中。Web開発に興味のある方(言語:HTML、CSS、Next.js、node.js)どうぞ。
総括
4月は振動試験の保留・安全審査対応・取材など、調整作業が目立つ月でした。
5月以降は、各種試験の実施・ソフトウェアの仕上げへと進む見込みです。
ハモるんとは
ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。
”系”とは
リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10+α のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。
以上、2024年4月の開発進捗でした。
来月のハモるん開発記もお楽しみに!
2025年7月、ミニ音楽会やります
※当レポは2024年の話ですが、音楽会は2025年の話です!
2025年7月21日(月・祝)、門前仲町にて『ハモるんミニ音楽会』を開催します。
詳細はコチラ!
ピアノ奏者の岡野勇仁氏を迎え、『 ハモるん』をテーマに、カバー曲あり、人工衛星作曲(!)のオリジナル曲ありの多彩な演奏をお届けします。
また、リーマンサットならではの取り組みとして、演奏前に衛星開発メンバーが衛星開発や宇宙開発の魅力もお伝えします。
お席が残り少なくなっております。お問い合わせはお早めに!
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宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。
【この記事を書いたメンバー】
広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉