こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!
前回の進捗報告はこちら→ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2024年5月
2024年6月のハモるんと03メンバー
梅雨入りとともに、RSP-03の開発もいよいよ大詰め。
7月末の開発完了に向け、各系が一斉にラストスパートをかけた月となりました。
また、関東以外で開発をすすめてきたRSP-03メンバーや、それ以外のリーマンサットメンバーを東京の開発スペースに迎え、「ハモるん」FM*お披露目会を行いました。
(*FM:実際に宇宙へ放出されるモデル、フライトモデル。以下FM)
「RSP-03が美しかった」「オンライン参加が主だったのでたくさんのメンバーにリアルで会えてうれしかった」「FMがみられてよかった」「開発スペースに行ってみたかったのでよかった」などの声が聞かれ、参加者の満足度が高く盛り上がったイベントとなりました。
また11月に開催の宇宙科学技術連合講演会(通称:宇科連)@姫路 にて、プロジェクト全体+M系(ミッション)で1本、T系(通信)で計2件申し込みしました(2024年の話です)。
それでは、2024年6月の各系進捗です。
PM系(プロジェクトマネジメント)
●開発スケジュール
・開発完了予定:2024年7月末とした。
・全機能評価日:2024/7/14(日)、本番運用を想定した全系統通し試験の日程を決めた。各系はそれまでに機能完成を目指して開発。
●安全審査
・FM外観検査:リーマンサットが契約している宇宙商社 Space BDさんによる外観検査は問題なく完了。「非常にきれいで、非の打ち所がない」とのコメントをいただいた。RSP-03は表面に凹凸もなく、デザインも含めてとても綺麗とのこと!
・振動試験:完了、レポートもほぼ完成。
・FMのフィットチェック:完了、報告書提出済。
・OCV測定(振動試験後のバッテリの健全性テスト):7日間測定完了、報告書提出済。
・インヒビットファンクションテスト(ディプロイメントスイッチの健全性のチェック):実施、報告書提出済。
●法令対応
・宇宙活動法:内閣府からのコメントに対応。
M系(ミッション)
●地上局アプリにおけるコマンド送信機能の開発
・UPLOADコマンド:実装完了。
・reportコマンド、SET_COM_CONFIGコマンド:実装中。
●曲生成機能の開発
・曲生成のパラメータ整理完了。
・転調のバリエーションを増やすことを検討中。
・曲生成処理で作成された曲を人手で確認中(人が聴いてみて、音楽として変ではないかどうか)。
●音声合成(デジトーカ)機能の開発
・話者の音圧調整作業中。
C&DH系(コマンド&データハンドリング)
・AOBC(姿勢制御系OBC)-MOBC(ミッション系OBC)間のSPI通信の効率化:継続してチューニング中(段階的に改善)。
・テレメトリ定期保存機能:実装完了。
・異常対処機能作成他、未完成機能も開発中。
T系(通信)
・CCSDSのDownlinkの通信成功。地上局・衛星双方に課題があったが解決済み。
・宇科連講演:T系単独でもエントリー。
・GMSKアップリンクの通信感度の問題は残るが、AFSKがメイン通信手段のため致命的ではない。
P系(電源)
・振動試験後のバッテリーおよび太陽電池の健全性確認を実施し、異常なし。
・充放電制御プログラムの実装作業を継続中。
A系(姿勢制御)
・センサソフト修正済み。実機での動作確認も実施済み。
・RW(リアクションホイール)単体制御コマンドの作業を継続中。
H系(熱・構造)
・振動試験:無事実施、衛星にダメージなしと確認済み。
・3次元形状測定:レール精度・平行度測定を7月以降に予定。
G系(地上局)
・AFSKおよびGMSKのUp/Downlink動作確認をリーマンサット地上局の無線機を用いて実施。音声信号系に若干課題あり。
・運用システムおよびデータベース連携部分を実装中。
・汎用無線機を使い、CCSDSプロトコルのデコードを試したが上手くいかなかったため引き続き調査。
D系(デザイン)
・F系からの「クラウドファンディングページのトップ画像は筐体のイラストではなく実写で作ってほしい、また筐体のバックも開発してるみんなの写真でお願いしたい」という要望を受け、ハモるんFMお披露目会で撮影した画像を使用。
・Tシャツデザイン、トートバッグ、クラファン用フライヤーなどは引き続き対応中。
X系(外部公開)
・FMお披露目会の様子をSNS投稿。
超小型衛星RSP-03開発中!#ハモるん です_[*´꒳`*]_°˖✧
CubeSatならべてみたハモ!
超小型衛星RSP-03 EM
超小型衛星RSP-03 モック
超小型衛星RSP-03 FM→"ハモるん"本物
超小型衛星RSP-01 モックFMお披露目会では「生ハモるん美しい✨」と評判だったハモ❣️#趣味は宇宙開発 pic.twitter.com/qqfCB308Nn
— リーマンサット #趣味は宇宙開発!(Rymansat) (@RymanSat) June 19, 2024
・PR方法にマンガを検討。
・SNS施策強化。X(旧Twitter)で「連続テレビ小説風」シリーズが好評。
連続テレビ小説「#趣味は宇宙開発」
第一話 「衛星基板をコーティングする…だと?!」
(流行りに乗ってみた) https://t.co/5Esx6yYQd5 pic.twitter.com/sx5eKDdVor
— リーマンサット #趣味は宇宙開発!(Rymansat) (@RymanSat) June 12, 2024
・SNSでの技術コメントを通じて他団体アカウントとの交流も開始。
・Web記事・サイト仕様ページも整備へ。ライターを募集。
F系(ファンディング)
●READYFORでのクラウドファンディング再提出準備中
・テキスト完成、画像挿入を6/24までに完了予定。
・返礼品構成(パーカー・Tシャツ・セット)も確定。
作成中の画面。
・実物写真ベースのメインビジュアル撮影済み。今後広報でも使用予定。
・はんだ付け教室やアクリルスタンド作成教室など、今後追加リターン候補も検討。
RSP-03特設サイト
・「追跡」ページに、自分の位置・軌道パスを表示する機能を追加。
・Docker環境構築。開発環境構築をより簡単に出来るようにした。
・その他デザイン・コンセプト・実装進行中。
エレキ系
・ハーネスモデルから昇格したEM(Engineering Mode,衛星が宇宙環境で稼働できる事を地上で試験するモデル)をさらにアップデート。カメラ追加、Raspberry Pi 追加、ケーブルの一部を追加。スケルトン仕様のためFMお披露目会でもいろんな人に衛星の中身を見てもらえた。
総括
6月は、全機能の動作を想定した通しテストに向け、各系が足並みを揃えつつ、最終段階の調整を行いました。
7月は開発最終月として、機能完成・試験完了と重要なイベントが目白押しとなりそうです。
ハモるんとは
ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。
”系”とは
リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10+α のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。
以上、2024年6月の開発進捗でした。
次回のハモるん開発記もお楽しみに!
2025年7月、ミニ音楽会やります
※当レポは2024年の話ですが、音楽会は2025年の話です!
2025年7月21日(月・祝)、門前仲町にて『ハモるんミニ音楽会』を開催します。
詳細はコチラ!
ピアノ奏者の岡野勇仁氏を迎え、『 ハモるん』をテーマに、カバー曲あり、人工衛星作曲(!)のオリジナル曲ありの多彩な演奏をお届けします。
また、リーマンサットならではの取り組みとして、演奏前に衛星開発メンバーが衛星開発や宇宙開発の魅力もお伝えします。
お席が残り少なくなっております。お問い合わせはお早めに!
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宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。
【この記事を書いたメンバー】
広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉