こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!

前回の進捗報告はこちら→ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2024年6月

2024年7月のハモるんと03メンバー

7月末で開発完了を予定しており、各系では機能試験や統合試験が活発に実施されました。特に7月14日には、運用シーケンスを想定した全機能の通し評価を実施。引き続き、JAXAの安全審査や宇宙活動法への対応も進めています。
それでは、2024年7月の各系進捗です。

PM系(プロジェクトマネジメント)

●全体スケジュール管理・開発完了への進捗確認として、7月末に向けての開発完了リマインドを全体に繰り返し発信。
・各週の定例ミーティングで「7月末開発完了」を強調し、各系のスケジュール進捗をフォロー。
・7/14(日)の全機能通し試験を重要なマイルストンとして設定し、それに向けて各系に目標を設定。

●各系統の試験・評価状況のモニタリングとフォローを行った。ミッション系を中心とした機能試験が7月を通して集中的に実施され、各系の報告を元に、PM側で進捗・課題を整理。
●機能間連携や系間の統合(例:C&DH系、A系、M系の結合)などの状況を把握し、試験リソースの調整や情報共有を支援した。
●JAXAの安全審査(Phase3)が本格スタート。振動試験や3次元測定に対する質問への対応を実施。
・振動試験レポートに関して、コメントが来たため共振周波数の差異理由の説明(計測点の違いなど)への対応を行った。
・リーマンサットが契約している宇宙商社 Space BDさんとの事前チェックは中旬時点で概ね完了し、本審査にスムーズに移行。
インヒビットファンクションテストやOCV測定、フィットチェックなどの安全確認試験も完了または最終調整段階へ。
3次元形状測定(H系実施)の結果も問題なしと報告を受け、PMで最終報告として提出済。
・宇宙活動法関連対応については7月初旬にコメントを受領。これに対して対応を実施し、7月中旬に一次回答を返答済み。必要であれば追加対応を今後実施することにした。
●機能試験における不具合や調整事項(特にM系やC&DH系)を日々吸い上げ、必要に応じてリソース調整や作業再割り当てを実施。
●A系(姿勢系)の精度向上や通信系のPLLロック問題など、技術的な懸念事項の進捗も適宜トラッキング。

ノギスで寸法測定をしているところ。

M系(ミッション)

●運用システムからコマンドを送り、デジトーカやSSTVがダウンリンクできることを確認。写真撮影や作曲データのダウンロードも成功。
●作曲処理:転調処理37パターンを実装、エクストラサクセス機能(コード進行指定作曲)に対応中。
●STTコマンドの処理を、赤経赤緯計算失敗時に異常値を返すよう修正へ。
●地上局コマンドの実装・テストを継続。

C&DH系(コマンド&データハンドリング)

●AOBC(姿勢制御系OBC)-MOBC(ミッション系OBC)間のSPI通信が安定。パケットロスが大幅に減少!
●時刻同期がMOBCとAOBCで成功(衛星側でも地上と同じ時刻がわかるように!)。
●AOBCの初期化・シャットダウン用コマンドの実装を進行中。
●MOBCの電源自動OFF機能も実装。

テストベンチテストベンチ(地上試験用の衛星モデル)で実装したプログラムの確認をしているところ。

T系(通信)

●システム全体試験を通じて検出されたバグを修正中
●通信ハードウェア開発はクローズ。今後はシステム試験に注力。
●周波数申請手続きで一部国との調整が難航中(お役所系たらい回しにはまり中、運用には直接影響なし)。

P系(電源)

●バッテリー充放電制御プログラムを継続実装中。
●フローチャートを作成し、テストに向けた準備を進行。

バッテリー充放電制御プログラムをテストベンチで確認しているところ。

A系(姿勢制御)

●IMUの精度向上に向け、測定レンジ範囲の変更を検討。
●コマンドのバグ修正版を作成し動作確認済み。
●C&DH系とシャットダウン連携に関する打ち合わせ実施。
●M系とのスタビライズ処理連携については引き続き検討中。

H系(熱・構造)

●3次元寸法のためRSP-03を自宅へ持ち帰り。つかの間の”衛星と同居”生活。
●3次元寸法測定を実施し、全項目でサイズ内であることを確認。
●振動試験関連のレポート・解析結果はJAXAへの提出・回答を完了。

接触式3次元測定器でハモるんの身長体重測定中。

G系(地上局)

●運用システムにより、テストベンチから画像ダウンリンクに成功。
●AX.25やCCSDSのデコード処理に一部課題あり、調査継続中。
●地上局PCのウイルス対策ソフト更新についても対応検討中。

D系(デザイン)

●クラファン関連グッズを複数デザイン(Tシャツ、パーカー等)。
●Tシャツ(衛星爆発図プリント)の図面作成中。CAD図から爆発図を作成し、デザイン用に出さない情報を消すなど細かい作業を行った。
●ミニハーモニカの台紙デザインは業者へ入稿。

X系(外部公開)

●三次元計測をわかりやすくイメージしてもらうための投稿をSNSで連投。


●ロケットアイドルVTuber宇推くりあさんに声でのミッション参加のお声がけを開始、デジトーカ用の音声での参加決定。
●ミッション系に無理を言ってデジトーカ用音声を追加搭載してもらった。
●「RSP-03技術講演会」の会場である「宇宙の店」で設備確認。

F系(ファンディング)

●仮オープンしていたECサイト(SUZURI)の第一期販売グッズ決定。8/1のオープンをめざし準備。
https://suzuri.jp/rymansat

●RSP-03クラウドファンディングの返礼品の一部を先行発注。
●クラウドファンディングについて「楽しいところに人は来る!お祭り感が重要」として盛り上げの策を練った。
●クラウドファンディング実施期間を11/23(土) 15:00 ~ 1/21(火)23:00に決定。

RSP-03特設サイト

●デザイン・コンセプト・実装それぞれ進行。

総括

7月は「全機能通し評価」や「安全審査の本格化」など、開発終盤にふさわしい濃密な1ヶ月となりました。開発完了に向け、ラストスパートの時期です。各チームの粘り強い対応により、ついに開発完了となるか?!

ハモるんとは

ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。

”系”とは

リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10+α のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。

以上、2024年7月の開発進捗でした。
次回のハモるん開発記もお楽しみに!

2025年7月、ミニ音楽会やります

※当レポは2024年の話ですが、音楽会は2025年の話です!
2025年7月21日(月・祝)、門前仲町にて『ハモるんミニ音楽会』を開催します。
詳細はコチラ
ピアノ奏者の岡野勇仁氏を迎え、『 ハモるん』をテーマに、カバー曲あり、人工衛星作曲(!)のオリジナル曲ありの多彩な演奏をお届けします。
また、リーマンサットならではの取り組みとして、演奏前に衛星開発メンバーが衛星開発や宇宙開発の魅力もお伝えします。
お席が残り少なくなっております。お問い合わせはお早めに!
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宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。

参加する


開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。


【この記事を書いたメンバー】

広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉


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