技術広報モエです。

文系女子が人工衛星開発を追いかけてみた【RSP-00フライトモデル死闘編(後編)】
今回はインタビュー形式で開発現場のリアルをお伝えします!

前編はこちらから!

 

-- こんなこともあろうかと!と準備しておいてうまくいったことがあれば教えてください。

姿勢制御系O村さん:基板をぎっしり詰め込んだ後に余裕で取り付けられて、しかも、希望の磁束を持つ小さい永久磁石!!あとは、仮眠用のマットレス。笑
熱構造系武部さん:振動試験の施設を予定より1日余分に確保しており、スケジュールの遅れに対応できたことぐらいでしょうか。

 

-- え、どういうことですか?詳しくお願いします。

PM系嶋村さん:なんか武部さんがそんなことをぼそっと言っていた気がしたけど、もうだめならダメでいいやって言ってたから。(振動試験に)間に合わないなら間に合わないでいい、逆立ちしたって間に合わないからいいって。
PM系加藤さん:そういう覚悟、割り切りっていうか。覚悟をもってやっていた
PM系嶋村さん:翌日のことは頭から抜けていたけど、最悪翌週(の振動試験)に間に合えばいいと思ってた。
武部さんが翌週も振動試験の施設を確保していたのを知っていたので。
でも武部さんに言われるまで翌日の確保分は頭から抜けていた、忘れていた
皆には月曜がエンドだって言っていた、そう言ってわかっててもらわないと動かないから、本当は月曜までにやるつもりで。翌週も確保している、というBプランはあえて言わなかった。けど翌日も取ってあると聞いて、じゃあ週明けもう一日やろうかと。それでぎりぎり間に合った

(少しの沈黙)

PM系嶋村さん:・・・石川さん知らなかったでしょ?
ミッション系石川さん:知らなかったですね。ファインプレー。ヒーローは、と問われたら武部さんですね。

 

-- 最後、組み込みに苦労したと聞きました。

PM系嶋村さん:最後に筐体しめてなんとかなったっておもったら、今度は精度が出ない。
ぱんぱんに入れたから。111.8mmになって、0.7mmオーバー。いくら頑張っても入らない。
(注釈※この寸法が規定値じゃないと衛星本体のJAXAへの引渡しができない)

昼に町工場メンバーを呼んで計ったらやっぱりオーバー。だからひとまず任せて帰った。
夜にフレーム側の削りだしをしてくれて、フレームのほうを内側まで削ってくれたから、はめたときの最終寸法が0.1mm以内の公差に収まるように作ってくれて完了

 

マザーボード組み付け中。

 

FM(フライトモデル)組み付け、はまり具合調整中。

 

-- あ、もう詰んだな、終わったな・・・って思ったことはありますか?

熱構造系武部さん:組み立てた後でモールスが送信されなくて、直前でもう一度筐体を分解した時です。
姿勢制御系O村さん:原因がよくわからないけれど、信号がうまくでなかったとき。PMの嶋村さん、通信系のS口さんやTNさん、熱構造系の武部さんのガッツには驚嘆しました。。。
PM系加藤さん:詰んだなと思ったことはない誰か何とかしてくれると思っていました。
ミッション系石川さん:んだなと思ったことはないですね。
PM系嶋村さん:石川さんすごいな、大船だな。
ミッション系石川さん:なんか電源がおかしいのは焦りました、全然知らないところでおかしくなったから焦った。電源系のUさんが直していて、いつの間にか直ってた。なんとかなった。なんとかなりました。

-- ちなみに嶋村さんは?
PM系嶋村さん:終わったなと思ったこと?200回ぐらいある。

 

-- 200回!多すぎる!

PM系嶋村さん:常に全体確認しているほうとしては綱渡りもいいところだもん、どれか一個でも踏み抜いていたらここまで来ていない
PM系加藤さん:運用に必要な検査が木曜にできるかどうかは確かに心配だった
PM系嶋村さん:間に合わなかったら終了だから。終了したからって責任取れとかもないしごめんねって。会社じゃないから。
PM系加藤さん:まだ終わってない。
PM系嶋村さん:終わってもないっていうか始まってもいない。(フライトモデルの完成で)みんな終わった感じでいるけど始まってもない

FM組み付け、はまり具合調整中。

 

-- 予想外だったことはありますか、良いことでも悪いことでも。

PM系加藤さん:難しいですね。なんでも未経験のことなので、僕にとってはなんでも予想外、すべてのプロセスが予想外でした。
熱構造系武部さん:表面粗さ試験がちゃんと規定値に収まったことです、収まらないと打ち上げてもらえませんが。。。

-- それって予想外なんですか?(笑)
姿勢制御系O村さん:思いのほか基板がぎゅうぎゅうで、永久磁石が本来予定していた場所に取り付けられなかったことです!笑
PM系嶋村さん:来ると思ったら近くまで来て時間切れで来れなくなったり、来ないと思ったらめっちゃ早くきたりする人が何人かいてその動きが予想外でしたね。来たけど一日障害対応に追われ何もすすまないとか、そんなんばっかりでした。

 

-- 皆さん徹夜組でしたか?

全員:はい。
PM系加藤さん:仕事でもしたことないのに趣味で徹夜したって会社で言ったら大笑いされました
ミッション系石川さん:徹夜しましたね、趣味なのに笑。金曜の夜。さすがに土曜の朝に画像送信が終わってないとまずいと思って残りましたね。
PM系嶋村さん:徹夜しましたね。終わるまで帰れませんから。熱構造系武部さんもいたし。まぁ構造系のくみ上げは大変だった。

あとびっくりしたのは最後の組み上げ時にアンテナ展開機構の担当の人が来られなかったこと。家庭の事情でどうしてもこれなくて。それも許されるリーマンサット。でも誰がアンテナ巻くんだ、てなって。あれはさすがに大変だった。

--誰が巻いたんですか?

PM系嶋村さん:自分が巻きました展開しなかったらごめんって笑 

 

--なんでもやるPM笑

PM系嶋村さん:全部見てるので。意外とクリンチノットはめんどくさい
PM系加藤さん:あぁ、僕もここで覚えたのはクリンチノット釣り糸の緩まない縛り方の一種。

 

--こうしておけばよかったかな、と今にして思う事はありますか?

熱構造系武部さん:もう一週間作業を早めていたら随分楽だったと思います。
姿勢制御系O村さん:通信系、構造系、電源系の知識をもっとつけておけば、みなさんをもっとお手伝いできたのかな~と思います。

 

--フライトモデル完成直後の、正直な感想を教えて下さい。

熱構造系武部さん:とにかく疲れました。睡眠をまともに取れるありがたみを再認識出来ました。
ミッション系石川さん:感動しました。
PM系加藤さん:感動しましたね
PM系嶋村さん:感動しました!・・・完成した瞬間は徹夜明け朝7時だったので「終わったよ、やっと終わったよ」って感じだった。
姿勢制御系O村さん:趣味にも関わらず、次の日が仕事なのに徹夜で組み上げようとするみなさんの取り組む姿勢を見て、自分も衛星とかに限らずもっとがんばんなきゃなと思いました。技術者のはしくれとして、かなり幸せな現場にいれたと思っています。

 

 

--その他何でもどうぞ!

熱構造系武部さん:山梨の産業技術センターへの往復が400kmと、衛星の高度と同じで、期せずしてその距離を体感できました。
姿勢制御系O村さん:RSP-00の開発に携わったみなさん、まだまだいろいろ残っていますが、本当におつかれさまでした

 

RSP-00のエンジニアリングモデル、フライトモデルの筐体(中が入っていないもの)の中に、しれっと仲間のように並ぶ、HAKKOさんのはんだ付けの機械(一番奥の青いもの)。

 

完成直後のフライトモデル!宇宙に行きました!

 

人工衛星開発に限らず何かをやり遂げるのに重要なのは、
挫けない強い気持ちと、多少苦しくても頑張れる肉体、だと教わった気がします。
わたしも頑張ろうっと。

 

たくさんの方からお力添えをいただきながら、町工場、デザイナー、SE、営業など
多種多様な人材がごった煮状態で試行錯誤しながらここまできました。
老若男女の素人が懸命に学び、仲間や楽しみを見出し、新しいことに挑戦してきました。
そんな、ちょっと風変わりかもしれないこと、人に興味を持った方がいましたら、
リーマンサットをちらっとのぞいてみてください。
何か得るものがありますよ。多分!

 

宇宙開発の現場をちょっと覗いてみたくなったら↓

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