チョコレートは無限の可能性を秘めた宇宙である。
――と、有名なショコラティエが言ったかどうかはさておき、キッチンの片隅から宇宙を叫ぶべくボンボンショコラを作ってみました。

 コンセプト検討と設計

まずはどんなボンボンショコラを作りたいか、想像を膨らませてコンセプトを検討します。

作ってみたいのは、こんなイメージ。
・箱の蓋を開けたら小さな宇宙
・「わぁすごい」と喜んでもらえる
・遊び心がある
・大人のご褒美(ほんのりアルコール風味)

ということで、太陽系にありそうな惑星をモチーフとした“大人が喜ぶ惑星チョコ”を目指すことにしました。

超小型人工衛星を開発する前にも、どんなことを実現したいのか、何を目指すのか、という方針を定義することが必要です。ここでしっかりコンセプトを決めておくことで、開発を進める「軸」となるのです。

たとえば、RSP-02は“クールでロマンチックな人工衛星”をコンセプトとして、オリオン座をモチーフとした人工星座を放出するという、世界初のミッションに取り組んでいます。

実際にボンボンショコラを作るにあたっては、コンセプトに沿った色、味、形になるよう具体的な手順を決めていかなくてはいけません。
これがレシピ――惑星チョコの設計書になります。

手順の概要は以下のとおり。

(1)モールド(チョコレートの型)をエタノールで拭いて消毒する。
(2)色チョコペンで、モールドの内側に模様を描く。
(3)チョコレートをモールドに流し入れて外枠を作る。
(4)ガナッシュを注入したら、チョコレートで蓋をする。
(5)冷やし固めたらモールドから外す。

チョコレート作りは科学実験のようなもの。適切な温度、適切な分量、適切な手順が整っていないと難しいです。何事にも言えることですが、段取りとイメージトレーニングは重要!
たとえば、(2)の色チョコペンも、何色を使うのか、何を使って塗るのか、どんな模様にするか……等、細かく決めておきます。
各工程の詳細なレシピが組みあがって初めて、“大人が喜ぶ惑星チョコ”になります。

超小型人工衛星の開発は、機能や役割ごとに「系」と呼ばれるグループに分かれています。
各系がそれぞれ段階的に設計を進め、場合によっては連携しながら、設計書を詳細化していきます。

各系の説明はこちら。
https://www.rymansat.com/join

 製造と試験

レシピが決まったら、手順に従って作っていきます。
ただし、手順が決まっていても必ずしも成功しないのが机上と実地の違い! ――と、偉そうに言いたいところですが、今回はいよいよ作る段階になって、惑星チョコ作りにおいては大前提となる半球もしくは球体のモールドが使用できず……。

一番近い形……近い……かもしれない形ということで、まさかの「みかん型」です。

エタノールを含ませたコットンでモールドを拭いたら、色チョコペンで模様を描いたり、使い捨て手袋をはめた指を使って塗ってみたり。

その後、テンパリング*をとったチョコレートを流し入れ、ひっくり返して余分なチョコレートを落とします。固まったら、外枠が完成!
※テンパリング:チョコレートに含まれるカカオバターを分解&再結晶することで安定した結晶構造にする温度調整のこと。

ガナッシュはチョコレートと生クリームだけで作るレシピもありますが、今回は水あめを入れました。水あめを入れることで分離しにくくなったり口どけが良くなったりするのですが、最大のメリットは防カビ(防腐剤)効果!

水あめに含まれる糖が食品中の水分を取り込むことで、カビが生えるリスクを軽減することができます。せっかくなら美味しく安全なものを作りたいですね。

外側をビターチョコレートにしたので、甘いキャラメルとチョコレートを合わせたガナッシュにコアントロー(オレンジのお酒)を加えました。コンセプトどおり、ふんわり大人味。

先に作っていたチョコレートの外枠にガナッシュを注ぎ入れ、上からテンパリングをとったチョコレートを流して「底」を作ります。
チョコレートが固まったら「底」を下にしてテーブルに叩きつけ、モールドから外します。このときは力強く、バンっと! うまくいったら、きれいに外れてテーブルに落ちます。

惑せ……いや、みかん……もとい、薄目で見たら惑星です(キッパリ)。

超小型人工衛星の製造では段階的に詳細な設計を進め、執筆した設計書に基づいて開発を行います。
既に大学や本業でスキルを磨いている人、モノ作り好きで初めて挑戦する人、単純に宇宙大好きな人、いろいろな人が同じゴールを目指して取り組むのが、リーマンサット・プロジェクト。それぞれができることに注力しつつ、ときには困難を乗り越えて、楽しく頑張っています。

試験工程では、実際に宇宙空間で稼働することを想定した動作確認を繰り返し、精度を高めていきます。いったん宇宙へ行ったら、問題が発覚しても修正することはできません。考えられることを可能な限りすべて洗い出し、確認することが必要になります。

そうして、各系で連携しながら製造や試験を進め、最終的に超小型人工衛星が完成するのです。

 打ち上げ

完成したボンボンショコラは、きれいにラッピングして完成です。
大事なことなのでもう一度言います。薄目で見たら惑星です。

宇宙への愛がつまったボンボンショコラ、飛び立て!
誰か受け取ってください……。

超小型人工衛星はロケットでISS(国際宇宙ステーション)に届けられ、その後、ISSの日本実験棟「きぼう」から放出されます。
轟音を響かせて地球から飛び立つロケットの中に自分達が情熱を注いだ超小型人工衛星が乗っている! と、思ったら興奮しませんか。

ボンボンショコラも超小型人工衛星も、固い外装の内側には夢と希望と、たぶん愛がいっぱい詰まっています。
みなさんのバレンタインデーが、素敵な日でありますように。


リーマンサット・プロジェクトはいつでもメンバーを募集しています。
「参加してみたい。でも何ができるかわからない」
一度、参加してみてください!
何ができるかわかる人ばかりではありません。
スキルがあって参加してくださる方はもちろん大歓迎ですが、何ができるかわからないけど来てみたら「これ、自分にできるかも」や、「やってみたいかも」がリーマンサットには沢山あります!
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【この記事を書いたメンバー】

広報部 技術広報課 Akko.M
海外の宇宙科学番組が好きすぎて、偏った英語を習得中。スイーツと珈琲と星空図鑑があれば幸せな妄想家です。


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