こんにちは、超小型衛星RSP-03チームです。
「ハモるん開発記」では、リーマンサットでの衛星開発がどのように行われているのかを、ハモるんことRSP-03の開発各系ごとにご紹介します。
「ハモるんって?」「”系”って?」という疑問があるかたは、文末へどうぞ!
前回の進捗報告はこちら→ハモるん開発記:超小型衛星RSP-03進捗2024年8月
2024年9月のハモるんと03メンバー
打ち上げに向けた最終段階として、各チームの取り組みが佳境に入ってきました。
衛星開発以外では、9月上旬「RSP-03チーム開発しない合宿:第二回」が開催され、全国各地、さらには海外からメンバーが集合しました。
今回は「演奏会をやろう」ということで、ハモるんにちなんだ曲を各自で練習の上、いろいろな楽器を持ち寄り演奏会を行いました。
演奏会以外に花火、食事作りなど、みんなでやりたいことを全部詰め込んで実行したところ、夕ご飯開始が23時ごろになりました・・・・笑
二日間の合宿を通し、今まで以上にお互いをよく知り、濃密な時間を過ごした03チームでした。
それでは、2024年9月の各系進捗です。
PM系(プロジェクトマネジメント)
●安全審査:9月末にPhase3の安全審査が完了。これによりJAXAへの引き渡しに向けた準備が整いました。
●宇宙活動法:許可証が無事交付され、法的手続きはすべて完了。
●Final Call関連:必要書類をすべて提出・受領され、年内の引き渡しに向けた道筋が明確に。
●結合評価スケジュール:試験計画が見直され、テストベンチ*/テストベンチ2/EM*での評価項目割り当てが変更されました。
*テストベンチ・・・地上試験用の衛星モデルをテストベンチと呼ぶ。
*EM・・・開発に使用する試作機のことをEMと呼ぶ。エンジニアリングモデルの略。また実際に宇宙へ放出されるモデルのことをFMと呼ぶ。こちらはフライトモデルの略。
M系(ミッション)
●システムテスト:HKデータの一部(角速度)を活用した作曲、撮影時の安定化コマンドとの連携など、最終調整を実施中。
●未対応コマンドはなし。機能実装を断念した項目についてもリストに明記済み。
●SSTV関連:ノイズ対策の一環として音声ファイル出力をステレオ化。動作確認済み
C&DH系(コマンド&データハンドリング)
●テレメトリ処理を中心に各種テストを実施。HKデータ(ハウスキーピングデータ)の取得内容が妥当であることを確認。
●TOBC(通信系OBC)では24時間停波処理、テレメトリ受信、異常処理などの実装が完了。バッテリ管理機能の統合が残タスク。
T系(通信)
●SSTVのDLで画像のノイズが酷い(高解像モードのPD120でQRコードが読めない)問題は、SSTV変換ソフトの改修とM系再生コマンドの変更は完了、実通試験で問題なし。この対処でSSTVデータがSDカードに占める容量が増加(約1GB)するが許容範囲内。
●IC-9100とSDRとの両用のため、IC-9100のSDR向け分配追加工事実施。6dBほど感度が落ちるが、LNA導入で感度低下の問題も解消見込み。
●TOBC(通信系OBC)へのSRAM ECC(メモリ誤り訂正機能)の実装が完了。TOBCのソフトはFMプリエンファシスフィルタの確認を実施すれば全て完了。
P系(電源)
開発完了:バッテリー充放電プログラムもマージ完了し、長期運用試験フェーズへ移行。電力収支の監視を継続中。
A系(姿勢制御)
●IMUの測定レンジ調整:125°/sの設定に変更し精度向上を図る。
●コマンド&テレメトリ:受信・発行処理の整備が進み、RW(リアクションホイール)や磁気トルカがテストベンチからの指令で正常動作することを確認。
●膨張処理でのサムネイル画像生成はエラー発生のため導入を断念
試験の様子。
H系(熱・構造)
9月は特記すべき更新なし。
G系(地上局)
●受信用無線機(IC9100)の受信経路を2分配し、SDRへの入力経路を確保した。動作確認を進める。
●運用で使用予定の受信用SDRの運用試験および、コマンド送受信系の実装が進行中。
D系(デザイン)
クラウドファンディング用フライヤーが完成。ただしフィードバックを受けて最終調整中。2024年10月イベントで配布しようと計画。
X系(外部公開)
●イベント参加:9月はロケット交流会に出展。技術講演会や星マルシェなど、秋以降のイベントも続々準備中。
9/21〜22(土日)ロケット交流会の様子。ロケット交流会では講演会も行いました。
講演タイトル:宇宙で作曲してみよう♪~趣味の超小型衛星★開発最前線~
講演内容のYouTubeはこちら(2025年8月以降up予定)
●プレスリリースやカウントダウン企画、記事連動など多方面で広報活動を強化。
●各種イベントで対応できるデモアプリを作るための要求仕様を考えた。「衛星→12星座のどれかをみつける→モチーフの楽譜も表示(※デモアプリオリジナル機能)→温度HK(ハウスキーピング)データ高中低で作曲36曲くらい、楽譜も表示できるものがいいがもう少し練る必要あり。
F系(ファンディング)
●クラウドファンディング返礼品用楽曲のメインテーマ&ハモるん音頭が完成。歌詞募集開始。ジャケットのデザインを最終調整中。
●クラウドファンディング企画の一つとして、リーマンサット10周年イベント(リーマンサットEXPO)にてリーマンサットメンバー向け社員証(※趣味の団体のためジョークグッズ)を配布するため製作開始。
クラウドファンディングの返礼品の制作も進行中。
●SUZURIオータムコレクション開催。新商品(トートバッグなど)展開。
RSP-03特設サイトチーム(03サイト)
●曲再生機能:再生用ページの試作版が完成。管理画面からの操作も視野に開発中。
●仕様ページ:2024年10月末予定のプレスリリースに向け、仕様ページを構築中。
エレキ系
●長期運用試験:開発メンバー自宅での連続試験を実施中。
●ロケット交流会ではEMを展示し、注目を集めた。中身が見えるところが好評。
総括
各系の努力と連携により、RSP-03は無事、引き渡しに向けた最終段階に突入しています。2024年10、11月は技術講演会や外部イベントも控えており、広報と技術の両輪がますます加速していました。
ハモるんとは
ハモるんは超小型人工衛星「RSP-03」の愛称です。
サイズはなんと、手のひらサイズの約10センチ四方の立方体!
この小さな衛星が行うミッションのコンセプトは「星のシンフォニー(Stellar Symphony )」です。
地球を周回しながら、「宇宙空間で撮影した星の画像」と「衛星のハウスキーピングデータ(衛星の各パーツの状態を表す数値)」から多彩な音楽を作曲し、その音楽データを地上に送ります。
ハモるんについてもっともっと詳しく知りたい方は、RSP-03専用サイト「HAMORUN!」をご覧ください。
”系”とは
リーマンサットでは、二つの意味で「系」という言葉を使っています。
①何らかの機能を持つ仕組みのこと。
②衛星開発プロジェクトを行うために、機能や役割ごとに技術部内で分かれているグループのこと。
ハモるんでは、ミッション系や姿勢制御系、地上局系など、現在10+α のグループに分かれて開発を行っています。このグループを”系”と呼んでいます。
以上、2024年9月の開発進捗でした。
次回のハモるん開発記もお楽しみに!
2025年7月、ミニ音楽会やります
※当レポは2024年の話ですが、音楽会は2025年の話です!
2025年7月21日(月・祝)、門前仲町にて『ハモるんミニ音楽会』を開催します。
詳細はコチラ!
ピアノ奏者の岡野勇仁氏を迎え、『 ハモるん』をテーマに、カバー曲あり、人工衛星作曲(!)のオリジナル曲ありの多彩な演奏をお届けします。
また、リーマンサットならではの取り組みとして、演奏前に衛星開発メンバーが衛星開発や宇宙開発の魅力もお伝えします。
現在キャンセル待ちを受付中です。
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宇宙開発したい皆さん、一緒に何か企てませんか?リーマンサットが気になったかたはこちらまでどうぞ。
開発メンバー、広報として一緒に盛り上げていくメンバーも随時募集中です。
【この記事を書いたメンバー】
広報部 オウンドメディア課 &RSP-03外部公開系 トモエ モエ
リーマンサットCBO(C:最高 B:ビール O:責任者)
好物はビールと焼肉