2019年9月1日午後。
生まれて初めてハムフェアに行ってみた。

ハムフェアというフェアがこの世にあるということを知ったのは、リーマンサットメンバー達が自主的に行うオンライン勉強会に参加したときだった。メンバーの一人Kさんの「明日は徹夜でハムフェアに参加するので、ROM専になります」というメッセージを見た時だった。そしてその時、私はハムフェアとは、”宇宙開発を趣味にしている人にとって、徹夜で参加するほどのフェアなんだ”と思った。

翌日、他のメンバー達も「ハムフェアへ向かっている」「午前で帰ってしまって会えなかった」など、SNS上にメッセージが流れてくる。「ハムフェアって、なんなんだろう。ハムって、食べ物じゃないよね…」

知らないことは、Googleに聞くしかない。Google曰く、“今年のハムフェアは「世界がともだち!アマチュア無線!!」をキャッチフレーズに、2020年に向けて、言語や国籍・民族等を超えた国際交流を拡げていくためのプラットフォームでもあるアマチュア無線の魅力を、より感じていただける展示や催事等”とのこと。

「なんでアマチュア無線のことなのに、ハムフェアなの???」と疑問が浮かぶ。どうやら、アマチュア無線のことを英語でham radioというのが由来らしい。女性無料、子供も無料。夏休みの自由研究と書いてある。年長さんの娘を誘って、まずは一緒に行ってみることにした。

 


 

途中、車窓から海が見える。ゆりかもめの東京ビッグサイト駅から会場まで動く歩道も楽しみつつ、ふと周りを見渡すと、おじさんしかいない。お父さんと男の子がちらほらいるものの、女の子もお母さんも若い男子もほとんどいない。あっちを見ても、こっちを見ても、おじさん。おじさん。おじさん。

子供「ママ、ここ、おじさんしかいないよ。本当に行ってもいいの?ここって、面白いの?」

母「たぶん。大丈夫だよ。面白いかどうかは、ママも初めてだから、わからないよ。だから行ってみよう。」
(本当に大丈夫なんだろうか。未知の世界だ。知らない世界だ。子供が一緒じゃなかったら、絶対行けない。きっと引き返してる。子供が居てくれて良かった。産まれてきてくれてありがとう。付き合ってくれてありがとう。)

と思いながら、午後2時半頃、会場へ足を踏み入れた。

 

会場に入ってすぐ、子供向けの磁石の力コーナーがあった。

最初は、電球の中で光が線になっている装置だ。
子供にお菓子を配りながら、「ほら、ここ触ってごらん。光の線が自分の指の方に向かってくるでしょ。」とブースのおじさんは説明してくれる。”でんじろう先生がよくやってるみたい。でも、なんで?こんな風になるんだろう。”聞こうとしたけど、声をかけてくれたおじさんは、他の子に話をはじめてしまった…。

次は、石のオブジェが浮くもの。

私「これは、どうして浮いてるのですか?」

ブースのおじさん「これは、電流を交流にして流しているんです。直流に切り替えると、落ちてしまいます。」

私「どうして交流だと、浮いて、直流だと落ちるんですか?」

ブースのおじさん「電気を交流で流すと、力の向きが一方方向で止まらないから、N極とS極の間を電気が流れて……」

私(あ。こないだ科学技術館でも同じこと聞いたんだけど、わからなかったことだ…)
電磁誘導。それはいったいなんなのか。フレミングの左手の法則なのか。コイルを握る時の親指の向きなのか。気にはなってるのだけど、いまもなお、はっきり理解出来ていない。

次は、やじろべい。
ブースのおじさんが「この棒をやじろべいに向かって指してごらん。」と子供に言う。子供は、言われたまま棒をやじろべいに向かって指す。と、やじろべいが動き出して、落ちた…。「もう一回やってみようか。」おじさんが脇で棒を擦って、その棒を渡される。今度は、ちゃんとやじろべいが動いて回転してくれた。これは、静電気だな。きっと。でも、なんで動いて回転するんだろう…。と思っていたら、「昔の人は、こういうのを見て、電気と名付けたんだよ。」とおじさんが説明してくれた。まだ、よくわからないな。でも、これ以上は聞く勇気がなかった。

最後にパチンコ玉が坂を登っていく装置をやってみた。
パチンコ玉が4つ並んでいて、そのまま端っこのパチンコ玉を勢いよくぶつけても、最後のパチンコ玉は、坂を登らない。
でも、磁石を間に挟むと、最後のパチンコ玉がレールに沿って坂を登っていった。”なんで?どういうこと?何が起こったの?”と疑問だらけだが、「すごいね。なんでこんな坂を登るんだろうね?面白いね。」と子供に子供に向かって刷り込みしておく。

磁石コーナーの次は、スタンプラリー。
世界がともだち!アマチュア無線!!のコンセプトの元、各国の言葉でこんにちはと話しかけてスタンプを押してもらう。全部の国のスタンプが揃ったら、お菓子と交換。子供向きのがあって良かった。早速、お姉さんにスタンプラリーの説明を聞いて、記念写真をチェキで撮られて、スタート。ほぼフェア終わりかけの時間だったため、タイ、インドネシア、フィリピンの3カ国のみ、国旗を頼りにスタンプラリー。

“サワディカー。””スラマシアーン。……”
挨拶してスタンプ押して貰って、すぐさまお菓子と交換。またもやチェキで写真撮影。

 

 

ここで、子供は飽きてきたので、「なんか食べる?お店みたいなのあるよ。行ってみよう。」
揚げ餅が食べたいというので、椅子に座って、揚げ餅を食べて休んで周りを見渡した。
ここまで、アマチュア無線に一切触れていない。もうすぐ、このフェア終わるけど…。すでに撤収作業が始まっているけど…。
揚げ餅休憩を終えて、子供はもう帰ろう。と言ってくる。なんとかしなければ…

「まだ一周してないから、あと一周だけしよう。もう終わっちゃうみたいだし。ちょっとだけ、いいでしょ?」と話し、ようやく、ブースを見て回る。謎のネジが段ボールに沢山入っていたり、緑の板が置いてあったり、長いアンテナがあったり、コスプレお姉さんがお菓子をくれたり。大学のブースもあった。気になるけど、何を聞けばいいのかすらわからない。だが、なんとか無線には触れることができた。

 

 

展示のなかには、血圧や体温を医療機関にデータとして送って、健康状態を医師と共有するという画期的なシステムがあった。子供の友達が小児の1型糖尿病で、親の負担が大きく困っていたので、このシステムで血糖値を遠隔通信管理できないのか、きいてみた。残念ながら現状ではまだそのような対応は出来ていないとのことだったけれど、いつかその友達を助けられるような無線システムができたらいいなと思った。

会場に「お帰りください」のアナウンスが流れ始めた。そして、ハムフェアは、あっという間に撤収されはじめてしまった。
初めてのハムフェアだもんね。このくらいでちょうどいいよね。帰りに「どう?面白かった?何が1番面白かった?」と子供に聞いてみたら、「難しくて、分からなかった。」「パチンコ玉が坂道を登っていったのが面白かった。」よしよし、刷り込み成功だな(^-^)

今回ハムフェアに行ってわからないこともたくさんあった。そのわからないことは調べたり、きいたり、学んでいけばいい。何事も、行ってみないとわからないし、やってみないとわからない。そして私はわからないことを、わかりたい。やってみたいと思っている。

後日、子供の友達に「ハムフェアに行ったんだよ」と伝えたら、「なにそれ?私も行ってみたい!来年は一緒に行こうよ!」と我が子が誘われていた。しかし、子供は「えー、やだよ。難しくてよく分からなかったもん。」と答えていた…。
そ、そ、そうだよね。難しかったよね(^^;

初めてのハムフェア付き合ってくれて、ありがとう。

 


おまけ

ハムフェアの翌々日、ユザワヤに行ったら、そこはほとんど女性しかいない空間。やはりユザワヤもワクワクする。細かなパーツが沢山並んでいて、アクセサリーのレシピがあって、キラキラして可愛い。ハムフェアとユザワヤは、似てる気がする。細かい作業が苦にならず、むしろ進んで物を作りたいDNAが組み込まれているのではないかと感じた。我が子は、シルバニアのケーキショップを組み立ててたのしんでいる。

 

 


【この記事を書いたメンバー】

広報部 技術広報課 池田 愛
一児の女児を子育て中、兼パートタイマー。宇宙に興味を持ったのは、つい最近の去年から。ただ今猛勉強して、技術部でお役に立てることが何かないか模索しています。

 


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