人工衛星は、いわば電子部品のかたまりです。宇宙環境での放射線や熱や衝撃に耐えるためには、繊細な加工が必要です。基板に実装されている部品、リード線、ケーブル、送信機…たくさんの電子部品が一体となって宇宙に飛び出す人工衛星になるには、ひとつひとつの部品が、人間の手による金属接合加工で実装される必要があります。

人工衛星を支えるはんだ付け。今回は、リーマンサット・プロジェクト開発メンバーが作業している工場に嫁入りした、熱しやすいけれど才色兼備なはんだこてからのコテコテなレポートです。

はろ〜!生まれは大阪のHAKKOのはんだこてです。

いつもはんだと一緒につるむんやけど、はんだは「鉛とスズを主成分とした金属」で、太さも成分もいろんなタイプがおるんや。そやから、うちがはんだのタイプにあわせて熱すぎず冷たすぎずの温度でアツくならんと、基本冷めはるはんだは上手いことトロけて電子部品さんくっついてくれへんのや。温度変化の見極めとか温度設定とか、ちょっとした職人わざなんで、意外と難しいんやで。

超小型人工衛星のなかには、いくつかの基板と、たくさんの電子部品がぎょうさん詰め込まれているんやけど、部品らが、アルディちゃん(Arduino)とかラズパイちゃん(Raspberry Pi)とかの指令官コンピュータの命令をようきいて役割を果たすには、えらく厳密な配備と間違いない通電が、ほんま大事なんやでえ。

RSP-01開発メンバーさんが基板に電子回路を設計しはってマッピングどおりに電子部品を配備せなあかんとなったら、うち、はんだこての出番ですわ!

うちがまず部品の金属接合場所を少し温めてたるやろぉ、そんで、はんだがちょい足をいれるやろ。職人さんが、はんだの気持ちになってツヤも量もよっしゃあ!と決めたら、うちははんだから、さいならあ~。

間違って他の回路にはんだが流れたり、くっついたりしたせいで電気がショートして電子部品を壊してもうたり、はんだに溺れて電子部品が傾いたりしたせいで剥がれたり上手く電気が通らなかったりは、絶対あかん。

地球より厳しい宇宙環境ならなおさらしっかかりせんとあかん。

さらに、ツヤが良いとか悪いとか盛りすぎとか、はんだにはツヤの美しさとカタチの芸術性が求められんねや。

大事なんは、うちのような有能なはんだこてと、職人さんの腕やなあ。

RSP-01開発メンバーすごいんやで。

工場では、うちら、みんなの取り合いになるくらい、開発メンバーさんは、はんだこてを握り、部品の部位を見極め、加熱温度や時間や量をぱぱっとコントロールしてはる。

どんなに小さい部品でも美しく丁寧に実装してしまうおすぎさん。

空中はんだ付けするふるやん、よねやん。

華麗なる曲芸やね。

ここにきて初めてはんだ付けするという見習いにも、練習用の基板を用意して指導も丁寧にしてんねんな…

はんだ付けは、時間をかけすぎると基板や部品に熱やストレスがかかるし、短すぎると強度不足の原因になるんやで。そやから、名工は、うちにはんだをあてるタイミングを熟知してはり、はんだ付けも早いねん。

まあ、うち、HAKKO FX-100は、はんだこてのなかでも見た目べっぴんさんなんやけれど、スイッチ入ったら10秒くらいで設定温度まで熱くなる起動力あるし、ダイヤルひとつで簡単に温度もかわるさかい、技術力まだまだ甘い初心者さんでも使いやすい。こてひとつの影響力も大きいで。

はんだ付けが終わったら、はんだがしっかり付いているかをチェック。光沢はええけど、カタチ悪いやつは使いもんならへん。あかんやつは、やり直しや。

部品くっついても、電流がちゃんと通電せんとな。あかんやつは、やり直しや。

宇宙に行ってしもたら修理もできひんからな~。ほんで、はんだが原因で宇宙空間で電気がショートしたりし たら、人工衛星は動かんようになってスペースデブリ(宇宙ゴミ)になってまうねん。厳しい宇宙空間で働くんやからこそ、はんだ付けは、めっちゃ重要なんや。

失敗が許されへん真剣勝負!そやから、みんな必死や。

そやけど、RSP-01の開発メンバーさんらは、宇宙品質の超小型人工衛星づくりが、めっちゃ楽しゅうてたまらんらしい。
ええなあ。ほな、がんばりや。いったれいったれ~。

これまでの超小型衛星RSP-01についてはこちらをどうぞ!

【この記事を書いたメンバー】

Kaitos(カイトス)
広報部 技術広報課 &技術部RSP-01プロジェクト C&DH系、rsp.横浜支部
趣味は宇宙開発、宇宙教育、星空案内、美味礼賛。7つの海を渡っていろんな空と美味しいものをみつけたい!チョコは、ベルギー派。


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